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ベルリンの話 その2


ドイツ統一がなって2年後の1992年、お客様に旧東ドイツを案内しながらベルリンを訪れた。

一番の見所の1つは何と言ってもブランデンブルク門だろう。ここは東西ベルリンを分断している壁の
中心地のようなもので、ここを境にして東はウンター・デン・リンデン通り、西は6月17日通りが出ている。
この時、東欧は完全に崩壊し、誰がどこへ行っても、どんな商売をしても何も言われないような、
ある種の無政府状態と言えるような状態になっていたように感じる。

このブランデンブルク門の近くに車を止め、歩いて西から東に行こう、ということになった。
さすがに(自分も含めて)お上りさんばかりで、それもただのお上りさんではなく、世界中からのお上りさんで
結構品がある(うそです)。

そこでは旧ソ連から来たらしき人達が脚立を立てて板(紐がついている)を置き、その上にいろんな物を並べて
売っていた。
マトローシュカ人形(ゴルバチョフのもあった)、ソ連製の双眼鏡、腕時計(もちろんクオーツではない)、
ベルリンの壁のかけら、ソ連の勲章、メダル、軍人用帽子、琥珀の装飾品などが売りに出ていたので、
それを冷やかしながら物色する。




ブランデンブルク門の前



そこへピーポ、ピーポとパトカーのサイレンが鳴り響いた。
この商売人達は慌てふためいてこの板に付いている紐を首に架けて、いわゆる駅弁スタイルになり、
脚立をバタバタたたんでそこらへんに片付け、値段が書かれた紙をポケットに隠したのだった。
そこへパトカーが止まり、中から警官が出て来てそこら中を歩き回る。
「ははあ、やってますね。この人たちは営業許可を受けていないから、商売をしてはいけないんだ」、
と納得がいく。 向こうは首を横に振るだけで答えない。要するに「売っているんではなくて、見せているだけでこの通り
場所を占拠してもいない。これだったら警察にも何も言われない」、という訳である。

しばらくしてそのパトカーが立ち去った。この駅弁さん達が商売を再開したのは言うまでもない。

2年ほど前、久し振りにベルリンに行ったのだが、駅弁さん達がまだ商売をしていた。
その中には戦前の「ドイツ空軍」と刻印がしてあるライカが売られていた。
今ではもうどこでも売られていないだろう。あの時買っておけばよかった、と今だに後悔している。

その話をドイツ人の骨董屋さんに話したら、「偽物が多いんで気をつけた方がいいよ」、と言われた。
買わなくてラッキーだったかもしれない。