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ライン川の話 その1


この川はスイスに源を発し、全長1,320キロの内の約700キロがドイツ国内を通っ
ているのだが、以前からこのドイツの大動脈ともなっていて、BASF、バイエルなどの大き
な工場、工業地帯、そして原子力発電所はこの川の側にある。特にルール工業地帯(中学
校の時に習ったなー)は、このライン川の小さな支流であるルールという川の近くにある
のでそう名前がついている。

ライン川下りもドイツ旅行では欠かせないルートになっているのだが、以前はマインツと
コブレンツ間の約80キロ、約6時間の船旅が行われたこともあったのだが、あまりにも
長過ぎるし、時間もなくなった。それに何と言っても飽きてくる。そういう理由で、今で
はつぐみ横丁のあるリューデスハイムからローレライの岩があるザンクト・ゴア、あるい
はザンクト・ゴアスハウゼン間で約2時間足らずの川下りとなる。それにしても、どうし
てこう日本の観光地というのはネーミングを真似するんでしょうかね。「天竜川ライン下
り」「長良川ライン下り」ライン川と地形が似てる。似てないっつーの!大体こちらの船は
千人乗れる船なんだから。

それはそれとして、日本人のグループはリューデスハイムで船に乗るのは一緒だが、下り
るのがこのザンクト・ゴアとザンクト・ゴアスハウゼンに分かれてしまうことが多い。この
時に問題が起こることがある。人の流れに乗る、という人間の心理だろうか、自分の下船
する場所を間違えて他のグループに付いて行く人がたまにいる。それを避ける為に乗船前
にお客様にくれぐれも忘れないように、釘を差すことにしている。ザンクト・ゴアで下船
の場合は、「ローレライの岩を過ぎてから1つ目!左側の船着場です。人の後に付いて行
ったら間違いないだろう、というのが間違いです。私の後ですよ。私の後!」更に下船の
際には船内放送のマイクを貸してもらい、「〇〇ツアーの皆さん、次のザンクト・ゴアで
下船です」とアナウンスする。まあこういう感じで1986年から今まで一人たりとも下
船場所を間違えたお客様はいなかったのだが、今年の五月に一人だけ下船し損ねたお客様
がいた。下船してから人数確認をしてもどこにもおらず、仕方なく対岸の船着場や船長に
電話をする。それによれば、対岸で下船し、船の中でワインを売っていた店員がそのお客
様を乗せてこちらに向っているとのこと。やっと30分遅れでこのお客様と合流する。聞
けば、下船するのは分かっていたけれども、急にお手洗いに行きたくなって、戻ったらも
う船は岸を離れていた…。このお客様を見つける為に、対岸の船着場、船の船長、ワイン
を売っていた店員、これら全てと携帯電話で連絡し合い、事の次第を把握できたのだった。
普段はいつかかってくるか分からないし、かかってきた時はいい話ではないのであまり持
ちたくないものなのだが、携帯電話というのは本当に便利なものだ、とつくづく感じる。